湖北薬剤師会定例研修会(学校薬剤師部会担当)を開催いたしました

 

令和7年5月15日(木)、メディサポにて湖北薬剤師会定例研修会を開催いたしました。令和7年4月より、湖北薬剤師会の研修会は委員持ち回りとさせていただいております。今回はその先陣を切って、学校薬剤師部会が企画いたしました。

昨今、大麻ならびに市販薬の過剰使用が社会問題となっており、特に十代の若者においてその傾向が増加しております。この現状を理解するため、まずは「危険薬物ならびに県下の薬物事犯発生状況について」と題し、長浜警察署 生活安全課 西河和真様にご講演いただきました。全国および滋賀県内における大麻法で検挙された若者数の推移、大麻乱用の増加の背景、誘惑手段、検挙者の身体所見などについてお話しいただきました。続いて、「過量服薬防止対策について」、防犯や若年者による医薬品の不適切な入手防止への協力要請がありました。これにより、薬剤師としての役割の重要性を再認識いたしました。

次に、研修会のメインとなります「オーバードーズ(OD)に至る思春期の子どもたちの心理・現状」について、滋賀県立精神保健福祉センター 保健福祉係 心理判定員 藤本千穂様にご講演いただきました。現在、10代が乱用する薬物の70%以上が市販薬であることを踏まえ、なぜODに至るのか、揺らぎの時期の脳の成長や特徴、子どもたちが何を感じているのか、実際の相談事例を交えてお話しいただきました。また、ODはつらい気持ちから一時的に逃れ、その瞬間を生き延びるための行為であること、ODを否定することは子どもたちの気持ちを否定することになりかねないこと、薬の危険性だけを伝えても根本的な状況改善にはならないことについても触れていただきました。

最後に、私から「学校で行う薬物乱用防止教室について」と題し、今後の薬物乱用防止教室を行う際に心掛けるべきこと、また薬局業務の中でいかに薬物乱用を未然に防ぐかについてお話しさせていただきました。SNS等により氾濫した情報を精査するために正しい情報を伝えていくこと、そして関わり・つなぐ、ゲートキーパーとしての役割を果たすことが、我々薬剤師に求められていることだと考えます。普段の業務の中で発揮している「薬剤師としてのお節介」こそが重要なのかもしれません。

今回の研修会が薬物乱用防止教室に携わっていただいている先生方の一助となりましたら幸いです。これまでのご尽力に感謝申し上げるとともに、今後とも引き続きご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。

最後になりましたが、今回の講師を務めていただいた西河様、藤本様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。今後もさまざまな課題解決のためにつながっていけることを切に願います。

令和7年5月26日

湖北薬剤師会理事 学校薬剤師部会委員 小倉味穂

 

参考資料

ゲートキーパーとしての薬剤師等の対応マニュアル

https://www.mhlw.go.jp/content/001411097.pdf

2025年5月26日