令和7年2月16日(日)長浜文化芸術会館にて長浜小学校合唱団の定期演奏会を鑑賞しました。今回は能登の復興を願うプログラムを企画されました。
1st Stageでは、素敵な歌声が披露されました。特に心に残ったのは、1曲目の「朧月夜」。春の季語とされる「朧月」。歌声から「情景」が浮かびます。季節を感じて心が動くのは日本人の素敵な感覚なのでしょうね。そして4曲目の「能登ふるさと讃歌」。能登出身の濱田さんが故郷を想い「風景・歴史文化・モラル」を詩にされ、「琵琶湖周航の歌」のメロディーで歌って欲しいと合唱団に希望されたそうです。さまざまな縁がつながり演奏会での発表が叶ったようでした。幕間に濱田さんとお話しすると、滋賀県を日本の首都にすればどうかなど冗談交じりで、滋賀県の素晴らしさを語ってくださいました。生まれも育ちも滋賀、長浜の私にとって、とてもうれしいお言葉でした。長浜小学校の校歌にある、雄大な伊吹山とおおらかな琵琶湖。その伊吹山から昇る、すがすがしい朝日と、琵琶湖のさざなみに映る夕日。この日常の素晴らしさを改めて感じずにはいられません。「ふるさと讃歌」の中で濱田さんが伝えてらっしゃるように「その地が織りなす造形や風景、そしてその地を想う心は脈々と受け継がれるべき宝なのだと心得」たい、そう思わずにはいられませんでした。
2nd Stageは、ミュージカル「ユタと不思議な仲間たち」。表現力豊かな演技に心打たれました。役柄と共に彼、彼女らの成長を見るようでした。寅吉じいさんの、難しい方言回しと余裕を感じさせる振る舞い。ステージ上に見えるのは少年なのに、辛酸を嘗めた人生の長としての姿がありました。
ユタのお母さん。強く優しい母親の姿。「たおやか」という表現がぴったりです。大作・桃子、いじめっ子なのに、根が優しいからどこか可愛い。虚勢を張りたい時ってあるものですよね。そしてストーリーの要となる、個性豊かな座敷わらし。小夜ちゃんに思いを寄せる親分のペドロ。ユタへのジェラシーが垣間見えるのが可愛い。みんなをまとめ、導く姿は「わらし」を超えてます。のびやかな歌声とはっきりした口調で講釈されたら誰もが聴き惚れますよ、ダンジャ。存在感抜群のゴンゾ。お腹一杯食べさせてあげたい。身体能力抜群のモンゼ。弱さを見せられるってホントは誰よりも強いのかも。立ち居振る舞いは、まさに妖艶。指先までも美しいヒノデロ。小夜ちゃん、うつむいてても、そこにあるものをきっちり見てる。真の強い女性。最後に主人公のユタ。小夜ちゃんの手を取って座敷わらしを見送るラストシーン。小夜ちゃんには座敷わらしは見えてない。それでも座敷わらしへの感謝の気持ちと自分の中に芽生えた自分を信じる力がそうさせたのでしょう。生きることに前向きな姿は素敵です。
泣いたり笑ったり、本当に楽しい時間でした。合唱団の歌声と想いは、きっと能登のみなさんのエネルギーに変わることでしょう。
令和7年3月6日
ハクビシャス
