多職種連携研修会を開催いたしました

多職種連携研修会を開催いたしました

令和6年10月3日(木)19時30分~21時30分、メディサポA会議室にて、(一社)湖北歯科医師会 在宅歯科医療のための多職種連携会議ならびに(一社)湖北薬剤師会 多職種連携研修会を合同で行いました。「よりよい地域医療のための歯―薬連携を目指して」を掲げ、「お互いの在宅業務を知る」「最近の治療方針の理解」「適切な治療のための情報共有の方法」について研修・ディスカッションを行いました。
まず、「 訪問歯科診療での在宅患者投薬時の問題点 」と題して、(一社)湖北歯科医師会 理事 瀧上啓志先生にご講演いただきました。「歯科診療には多数の機材が必要であり、持ち運びなども大変。(実際にスーツケースに詰められた機材の一部を持ち上げようとしましたが、私の力では無理でした)。処置に時間を要し、1日に多くの件数を回ることが難しい。ニーズがあることは理解しているが、外来患者の対応もあるため訪問できる件数に制限がある。処置には、同行スタッフや家族の協力も必要。また、治療中のアクシデント対応や盗難疑い防止のため単身では訪問しない。治療後に必要と思われる薬はあらかじめ持参するので、薬剤師との接点が持ちにくい。ケアマネージャーからの相談で訪問を開始することが多い。」と言う現状を教えていただきました。
次に、「 在宅業務における口腔トラブル対処への歯―薬連携にむけて 」と題し、当会 介護福祉委員 山田賢文先生にご講演いただきました。「在宅業務における薬剤師の役割、業務の中で心掛けていること」について丁寧に説明していただきました。さらに、「ご自身の経験された在宅患者における口腔トラブルの事例」から歯科医との連携の必要性を投げかけていただきました。
その後のグループディスカッションを通して
① 双方の相談は、気軽に電話で行ってよい。また、それぞれの事務局を通じて対応することも可能。
② 訪問歯科診療を行っている歯科医院は、滋賀県湖北健康福祉事務所(滋賀県長浜保健所)が発行する「歯科マップ」(滋賀県HPにも掲載)にて確認できる。
同様に薬局は、湖北薬剤師会HPにて確認できる。また、薬剤師は、医師だけでなく、歯科医師からの指示に基づいて、居宅療養管理指導を行うことが出来る。
③ ビスホスホネート製剤は、歯科治療中も基本的には中止しない。
④ 薬の名前だけでは、薬の効果(作用)がわかりにくい。お薬手帳だけでなく、薬情も有益。マイナンバーカードを用いたシステム利用への足並みがそろっていない。
と言う情報を共有できました。
歯科医と薬剤師の連携には、今後の一つ一つの関わり、またその積み重ねが必要ですが、同じ場に集えた経験は、少なくともお互いを知る貴重な一歩であったと感じております。
最後になりましたが、本会の開催にあたり、ご尽力いただいた(一社)湖北歯科医師会の瀧上啓志先生、ご参加いただいた歯科医師ならびに薬剤師の先生方にこの場をお借りして御礼申し上げます。

令和6年10月13日
湖北薬剤師会 理事 地域学術情報委員
小倉 味穂

 

以下、今回の研修会について寄せられた感想も併せて掲載いたします。
●初めて歯科医の先生とグループディスカッションしました。歯科の先生が気にしている事、不安に思っている事、薬剤師に期待している事などが直に聞けて勉強になりました。歯科在宅の事も初めて聞けて大変よかったです。また定期的に歯科医師会と交流していきたいです。
●歯科の先生方と合同の研修会という事で、普段接点の少ない先生方とのお話はとても参考になり、有意義な時間が過ごせました。ありがとうございました。今回は初めてという事もあり、お互いをまず知る所からと言った感じで、用意していた資料を使う暇もないほどでした。在宅歯科の取り組みは、ニーズは高いものの、コスト面や医院での診療時間との兼ね合いから実際にできる件数が限られる事などを教えて頂きました。現在はビスホスホネートの使用を中止せず抜歯を行うように指針が変更されている事も教えて頂けたので、今後の業務に活かしていきたいと思います。お互いに困っているのはお薬手帳やマイナンバーカードなどの情報を患者さんから医院や薬局に提供して頂けないケースでした。情報を提供する事のメリットを患者さんに啓発していく必要を一層強く感じました。
●歯科医師と薬剤師、それぞれの職種の現場・実情を共有。歯科医師の実情を知ることができるいい機会でした。今回の連携研修会では、歯科と薬局の直接な結びつきは、処方箋という直接業務で関わるツールが出てこないため、現時点ではまだハードルは高いな、と感じました。そこで、次回は歯科と薬局のそれぞれの他職種とのつながりを紹介し、共通の職種の方を見つける企画があると面白いのでは、と。友達の友達とは仲良くなれます。理論ではないですが、その共通の友達探しみたいな事ができると、後々には自然と、歯科と薬局が困りごとを相談するやり取りが生まれてくるのでは、と思いを馳せた次第です。
●歯科の先生方と直接お話しが出来て、大変勉強になりました。短い時間に濃い内容のお話が出来たと思います。業務へのモチベーションもアップしました。(先生方の「こんなことがあって大変だった」という裏話を聞くことが出来たのは集合研修ならではだと思いました。)歯薬連携について考え、また実践に結び付けられるパワーのある研修会でした。
●研修会に参加して、日頃歯科医の先生方と話す機会がほとんどない中で、歯科医による訪問診療時の具体的な内容や日常の問題点等を直接お聞きすることができ、とても貴重な時間を過ごすことができました。
歯科医の先生方と薬剤師がお互いの考えを話しあえる時間はとても有意義で時間が足りない程でした。
歯科医と薬剤師の連携の必要性も再確認でき、今回得られた情報や感じとった事を日々の業務に活かしていくべきだと強く思いました。
また今後情報交換できる機会があれば、是非参加したいと思います。

2024年10月18日